2009年1月16日金曜日

〓乳幼児用の玩具塗料が脳障害を引き起こす-厚生労働省

〓乳幼児用の玩具塗料が脳障害を引き起こす-厚生労働省

「脳の発達障害でIQが低下」―玩具の鉛で厚労省12月10日21時7分配信  医療介護CBニュース
 「脳の発達障害で、知能指数(IQ)を低下させる」―。乳幼児用の玩具の塗料などに含まれる鉛について厚生労働省は、「発がん性」などの毒性があるほか、胎児期や乳幼児期に高濃度の鉛が体内に入ると、脳障害によるIQ低下や神経行動の発育遅延などを起こすとしている。

 食品衛生法は、「乳幼児が接触することにより、健康を損なうおそれがあるもの(おもちゃ)」を規制している。 昨年、塗料に高濃度の鉛が含まれていた中国製の玩具が回収された問題などを受け、同法の「おもちゃ及び器具・容器包装の規格等」が今年3月と7月に改正された。

 これにより、規制される玩具の範囲が大幅に広がり、縫いぐるみなど繊維質の玩具も規制の対象となった。 改正前は、一定範囲の材質の玩具は規制の対象外だったが、“材質制限の撤廃”により、規制範囲を広げた。このほか、▽アクセサリー玩具、知育玩具、組み合わせ玩具の追加▽ぜんまい式、電動式の乗り物玩具の除外の撤廃―などが主な改正点で、10月1日以降に製造または輸入された玩具に適用される。

 これらの改正内容について、玩具関係者らに理解を深めてもらうため、厚労省は12月9日に「食品に関するリスクコミュニケーション(器具・容器包装、おもちゃの規格改正等に関する意見交換会)」を開催。束野正明氏(同省医薬食品局食品安全部基準審査課長補佐)が改正法のポイントを解説した。 また、河村葉子氏(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第三室長)が改正の背景について説明した。河村氏は、玩具の塗料などに含まれる鉛とカドミウムについて詳しく解説し、「鉛の毒性」として「急性毒性」「慢性毒性」「発がん性」の3点を挙げた。 このうち「急性毒性」として、腎尿細管障害を挙げたほか、ひどい場合には急性脳症(幻覚、記憶喪失)が起こるとした。また、鉛の摂取量が少なくても肝臓や腎臓、生殖、免疫、神経、消化器系などに影響を与える「慢性毒性」として、腎障害(腎不全)、末梢神経作用(神経伝動速度)の低下、脳の発達障害によるIQ低下を挙げた。

■耐容量は微量 河村氏によると、安全とされる鉛の摂取レベル(耐容量)は微量で、体重50キロの人の場合は1日当たり約180マイクログラム(マイクロは100万分の1)、体重10キロの幼児の場合は同約36マイクログラムだという。 玩具などに鉛やカドミウムが含まれている理由について、河村氏は「原料や製造段階で意図的に鉛やカドミウムが使用されたり、不純物として混入したりする可能性があるが、日本ではまれで、海外(製の玩具)にはある」とした。

 日本では、社団法人・日本玩具協会の指定機関が認定する「玩具安全(ST)マーク制度」があり、検査に合格した玩具には「STマーク」が表示されている。同協会によると、STマークの認定基準は食品衛生法の基準よりも厳格だという。 この日、玩具の安全性確保に向けた業界の取り組みなどを説明した同協会専務理事の津田博氏は、「海外で大規模なリコールが起きたが、日本(製品)で大きな騒ぎにならなかったのは、このST制度が“防波堤”になったからだろう。(リコールされた海外製品には)STマークが付いていなかった」と指摘している。

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